双極性障害(躁うつ病)の治療に注目されるタウリン

かつては「心の病」「気持ちの問題」「本人の甘え」などという心無い言葉で片付けられてしまった躁うつ病。現在の医学では、双極性障害や躁うつ病は、脳内神経伝達物質の異常が密接に関係していることが分かっています。

なかでも注目されているのが「アセチルコリン仮説」です。

アセチルコリンは脳の興奮性伝達物質であることが知られています。躁うつ病の場合、このアセチルコリンに対する反応が過敏であることが原因で症状が出ると考えられています。そこで躁うつ病の治療薬としては、アセチルコリンの効果を低減させる伝達物質であるリチウムが用いられます。

ところがリチウムは摂取し過ぎると、喜怒哀楽の情緒が感じられなくなったり、記憶力が低下したりといった副作用が生ずることがあります。また、身体の痙攣や甲状腺機能低下といった副作用も確認されています。

加えてうつ病治療薬には短期的な症状緩和が期待できるものの、長期的に見ると薬剤依存による症状悪化や社会復帰の難化、自殺率の増加等を引き起こすとされます。現在のうつ病治療に多くの批判が集まるのは、このような危険性があるからです。

抑制性伝達物質として働くタウリン

リチウムに代わる存在として期待されるのがタウリンです。タウリンはタコやイカ、牡蠣やホタテ貝などに含まれるアミノ酸に似た自然成分です

このタウリンは脳内で抑制性伝達物質として働き、アセチルコリンの過敏性を相殺してくれます。同じ興奮性伝達物質であるノルアドレナリンの作用も抑制し、興奮状態が生むストレスを緩和してくれる作用もあります。

リチウムと比べるとタウリンは人体に極めて安全な成分であるため、仮に効果がリチウムと比べて微弱であったとしても、タウリン摂取による躁うつ病治療には安全面では有効であるといえます。

タウリンは製薬に用いられる場合もありますが、基本的には食事由来の成分です。そのため、タウリンを多く含む魚介類を多く食べるといった食事療法がメインになってくると思います。また、近年ではタウリンを配合した健康飲料や健康補助食品が増えてきており、タウリン摂取も比較的容易にできることができます。

うつ病の治療には、外部環境の改善や行動療法、家族の理解などが必要となってきます。タウリンはあくまで治療の補助的な存在ですが、強力なヘルパーとなってくれることと思います。

参考文献 『心の病は食事で治す』 生田 哲 (著)  (PHP新書)

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