アラキドン酸が危険といわれる理由

DHAサプリとアラキドン酸

輸入されたサプリメントの成分表示を見てみると、成分表示に[Arachidonic acid]もしくは[ARA]と記載されている場合があります。ARAとはアラキドン酸のことを指します。アラキドン酸配合のDHAサプリメントは危険であるという学術論文がいくつか出されていますので、アラキドン酸配合のサプリメントは飲まないように注意してください。

特に米国から輸入されたサプリメントにアラキドン酸配合のものが多いです。DHAサプリは安全な国内製のものを飲みましょう。アラキドン酸がどのように危険であるのか、まずは順を追って説明いたします。

アラキドン酸が健康に良いとされる根拠

アラキドン酸はDHAやEPAと同じ必須脂肪酸・不飽和脂肪酸のひとつです。DHAやEPAが体内で合成できないのに対して、アラキドン酸はリノール酸から合成されます。リノール酸は食用油に含まれる成分ですので、油の多い現代人の食事ではリノール酸(およびアラキドン酸)が不足することはまずありません。

しかし、リノール酸の合成が加齢等の理由でうまくできない人は、アラキドン酸の直接投与が有効だとされています。また、アラキドン酸は神経細胞を生成するのに不可欠な脂肪酸であり、油を食事から摂ることがない乳幼児にはアラキドン酸を添加した粉ミルクが有用です。

事実、DHAとアラキドン酸と同密度で配合した粉ミルクはコーデックス総会(国際食品規格委員会)でも推奨されます。乳児用粉ミルクへのアラキドン酸添加の安全性と有効性については世界的なコンセンサスが得られています。

また、2012年に筑波大学は『アラキドン酸が細胞死を促進する効果がある=抗ガン剤開発に期待できる』という研究データを発表しました。

さらに、東北大学医学系研究科付属創生応用医学研究センターでは、「アラキドン酸は神経細胞の新生を促進し、うつ病などの精神疾患を予防改善する」という研究結果を発表しています。アラキドン酸の安全性については、アメリカのネルソンの研究において「アラキドン酸は人体に安全である」というデータが得られています。

ここまでに見てきましたように、アラキドン酸が「ガン、認知症、アルツハイマー症、うつ病」などの予防・治療に何らかの良い効果をもたらすであろうことが、数多くの研究によって実証されています。

しかし、それでもアラキドン酸配合のサプリメントは危険であると断言できる論拠が存在するのです。

以下では、アラキドン酸摂取の有効性に対する反対意見を見ていきましょう。

それでもアラキドン酸が危険な論拠

薬学部を持つ女子大として有名な金城学院大学付属の消費者生活科学研究所では、「アラキドン酸配合のDHAサプリメント」に対して警告を発しています。消費者生活科学研究所では主に『脂質栄養学』の研究分野が進展しています。

金城学院大学がアラキドン酸配合DHAサプリメントを良しとしない根拠を以下に箇条書きで要約します。

・日本人ではアラキドン酸(リノール酸)欠乏に陥っている人はまずいない。ゆえにサプリ摂取の必要性がない。
・アラキドン酸は「プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエン」などのホルモン様物質の生成を誘発する。これらは過剰摂取により、癌や気管支炎、精神疾患、アレルギー性疾患等の発症リスクを高める。
・動物実験では遊離アラキドン酸を投与したウナギが血栓により死亡している。アラキドン酸は動脈硬化性疾患を誘発する恐れがある。
・ネルソンの臨床試験による「アラキドン酸は安全」の主張は、アメリカ人固有の食生活に起因して得られたデータである。魚料理を良く食べる(DHA・EPA摂取量が多い)日本人には当てはまらない。
・加齢に伴い神経細胞が減るのはアラキドン酸欠乏ではなく炎症等の理由によるもの。認知症予防にアラキドン酸摂取が有効であることを示す論拠はない。
・アラキドン酸長期投与の臨床データが得られていない。

ざっとこのような感じです。ポイントは、アラキドン酸は欠乏している人へ投与した場合には認知機能や精神疾患を改善するのに対して、過剰に投与された場合には逆効果になってしまうという点です。

次に、厚生労働省の見解についても見ていきましょう。

厚生労働省(食品の安心・安全確保推進研究事業:2011)『アラキドン酸補給の安全性に関する研究』上の資料では、アラキドン酸補給の安全性については『検討が不十分である』という評価が為されています。

つまり、アラキドン酸配合サプリメントの安全性はまだ認められていないということ。(乳児用粉ミルクについては安全性が確証されている。乳児はリノール酸を食事から摂ることができないため、アラキドン酸が過剰になる状態は考えられにくい)

最近の資料では2013年に島根県医学部が『加齢に伴う筋肉量の減少とアラキドン酸長期摂取の関係』というテーマで研究を行い、発表しています。

そこでは「アラキドン酸の長期投与は細胞膜障害を引き起こす」「骨格筋の酸化ストレスを増大させ運動機能を低下させる」という報告が為されています。これは高齢のラットにアラキドン酸を投与した動物実験による結果です。しかし動物実験でさえ長期投与の安全性が認められていないものをサプリメントに配合するというのがいかに危険なことかは明らかであると思います。

まとめ

粉ミルクのアラキドン酸についてはご安心を。DHAサプリメントのアラキドン酸については危険ですのでご注意を。DHAサプリメントは国産の「アラキドン酸未配合」のものを選ぶことを強く推奨いたします。

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